こんにちは。空き家活用コンサルタントの解決不動産です。
「親から実家を相続したけれど、遠方に住んでいて管理が難しい」「誰も住まなくなった家をどうしたらいいか分からない」
近年、このようなご相談が後を絶ちません。日本の総住宅数に占める空き家の割合は年々増加し、今や深刻な社会問題となっています。しかし、多くの方が空き家を所有し続けることの具体的なリスクや、有効な対策についてご存じないのが現状です。
大切な資産が、気づかぬうちに周囲に迷惑をかける「負動産」になってしまう前に。今回は空き家ビジネスの専門家として、空き家を手放す前に絶対に知っておくべきリスクと、その具体的な対策について詳しく解説します。
目次
「そのうち何とかしよう」が危険!空き家を放置する5つのリスク
空き家を「とりあえずそのままにしておく」という選択は、百害あって一利なしです。具体的には、以下のようなリスクが潜んでいます。
1. 経済的リスク:雪だるま式に増える支出
誰も住んでいなくても、所有しているだけで固定資産税や都市計画税は毎年課税されます。さらに、庭の草刈りや最低限の修繕など、維持管理費もかさみます。
特に注意が必要なのが「特定空き家」への指定です。
倒壊の危険性が高い、衛生上有害であるなど、放置することが不適切だと自治体に判断されると、固定資産税の優遇措置が解除され、税額が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。
2. 物理的リスク:倒壊・破損による損害
老朽化した建物は、地震や台風などの自然災害で倒壊・破損するリスクが高まります。
屋根材や外壁が飛散し、近隣の住宅や通行人に被害を与えてしまうケースも少なくありません。
3. 防犯上のリスク:犯罪の温床化
人の出入りがない空き家は、不法侵入や放火、不法投棄のターゲットになりやすい傾向があります。
地域の治安悪化を招く原因にもなりかねません。
4. 法的リスク:所有者としての損害賠償責任
もし、あなたの所有する空き家が原因で第三者に損害を与えてしまった場合、その責任は所有者であるあなたが負うことになります。
民法第717条では、土地の工作物(建物など)の設置または保存に瑕疵(欠陥)があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者および所有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負うと定められています。
5. 社会的リスク:地域の価値低下
雑草が生い茂り、老朽化が進んだ空き家は、地域の景観を著しく損ないます。
空き家が1軒あるだけで、その周辺地域の不動産価値全体を引き下げてしまう可能性も指摘されています。
手放す前に検討すべき具体的な対策
リスクを理解した上で、次にご紹介する対策を検討し、ご自身の状況に合った最善の道を探しましょう。
対策1:売却する
最も一般的な選択肢です。まとまった現金が手に入り、維持管理の手間や固定資産税の負担から解放されます。
ポイントは、物件の状態に合わせた売却方法を選ぶこと。
・現状のまま売却:手間はかかりませんが、価格は安くなりがちです。
リフォームして売却:費用はかかりますが、付加価値が上がり高く売れる可能性があります。
・更地にして売却:建物の状態が悪ければ、解体して土地として売る方が買い手が見つかりやすい場合があります。ただし、解体費用と、前述の通り固定資産税が上がる点には注意が必要です。
対策2:賃貸に出す
定期的な家賃収入(インカムゲイン)を得られるのが最大のメリットです。
ただし、貸し出すためにはある程度のリフォームが必要になることが多く、入居者トラブルや修繕費の発生といったリスクも伴います。
対策3:自治体の「空き家バンク」に登録する
各自治体が運営する「空き家バンク」に情報を登録し、移住希望者など、その地域で家を探している人にアピールする方法です。自治体によっては、改修費用の補助金制度などを設けている場合もあります。
公的な制度なので安心感がありますが、成約まで時間がかかるケースもあります。
対策4:寄付・譲渡する
個人や法人、自治体などに無償で譲る方法です。
所有者としての責任から完全に解放されるメリットがありますが、譲渡先を見つけるのが難しいのが実情です。
まとめ:専門家への相談が未来を拓く第一歩
空き家問題は、一つとして同じケースはありません。立地や建物の状態、そして所有者であるあなたの状況によって、とるべき対策は大きく変わります。
大切なのは、問題を先送りにせず、まずは相談することです。
一人で抱え込まず、不動産会社や自治体の相談窓口、我々のような空き家コンサルタントといった専門家の知見を借りながら、あなたの資産を「負動産」ではなく、価値ある「不動産」として未来へつなぐための最善の選択をしてください。