老朽化した空き家の解体リスクと安全な進め方

2026.2.17

老朽化した空き家を所有し続けるリスク(倒壊や特定空き家指定)は広く知られていますが、いざ解体を決意しても、工事自体に「解体リスク」が潜んでいることはあまり知られていません。 一歩間違えれば、近隣住民との深刻なトラブルや、数百万円単位の追加費用請求に巻き込まれる可能性があるのです。

解体工事に潜む「3つのリスク」と回避策

解体工事は「壊して終わり」ではありません。更地にする過程で発生しやすい3大トラブルと、その対策を知っておきましょう。

1. 近隣トラブル(騒音・振動・粉塵)

最も多いのが、近隣からのクレームです。解体工事には騒音や振動が付き物ですが、事前の配慮が足りないと「洗濯物が汚れた」「うるさくて眠れない」といった苦情が殺到し、工事がストップすることもあります。

【回避策】
着工前の挨拶回り: 必ず業者と一緒に近隣を回り、工期や作業内容を説明する。
養生シートの設置: 粉塵が飛散しないよう、建物全体をしっかりと覆う対策を行う業者を選ぶ。

2. 追加費用の罠(地中埋設物)

「見積もりでは150万円だったのに、工事が終わったら200万円請求された」 このようなトラブルの原因の多くは、「地中埋設物」です。建物を解体した後、地中から以前の建物の基礎コンクリートや浄化槽、古井戸などが出てくることがあり、その撤去費用が追加されるケースです。

【回避策】
契約時の確認: 「地中埋設物が出た場合の単価」を事前に取り決めておく。
現地調査の徹底: 敷地内の図面や過去の履歴を業者に見せ、リスクを洗い出してもらう。

3. 悪徳業者による不法投棄

格安業者に依頼した結果、廃材を山林に不法投棄されてしまった場合、排出者(施主であるあなた)も責任を問われる可能性があります。

【回避策】
マニフェストの確認: 産業廃棄物が適正に処理されたことを証明する「マニフェスト(管理票)」の提出を契約条件にする。

安全かつ安く進めるための「3ステップ」

リスクを避けつつ、費用を抑えて解体を完了させるためには、以下の手順で進めるのが鉄則です。

ステップ1:必ず「相見積もり」を取る

解体費用には定価がありません。業者によって重機の保有状況や処分ルートが異なるため、同じ物件でも数十万円の差が出ることがあります。 最低でも3社から見積もりを取り、「価格」だけでなく「工事内容(養生の有無など)」や「対応の丁寧さ」を比較しましょう。

ステップ2:自治体の「補助金」を確認する

多くの自治体では、倒壊の恐れがある「老朽危険家屋」の解体費用に対し、最大50万円〜100万円程度の補助金を出しています。 ただし、「着工前の申請」が条件であることがほとんどです。解体業者と契約する前に、必ず役所の窓口かホームページで制度の有無を確認してください。

ステップ3:「滅失登記」までサポートしてくれるか

建物を取り壊したら、1ヶ月以内に法務局で「建物滅失登記」を行わなければなりません。これを忘れると、固定資産税がかかり続けたり、10万円以下の過料が科されたりします。 自分で行うのが難しい場合、土地家屋調査士を紹介してくれる解体業者を選ぶとスムーズです。

まとめ

老朽化した空き家の解体は、大きな決断です。

・近隣への配慮(挨拶・養生)ができる業者を選ぶ。
・地中埋設物のリスクを契約前に確認する。
・相見積もりと補助金で、適正価格で工事を行う。

この3点を押さえれば、トラブルなく資産(更地)としての価値を取り戻すことができます。 「安さ」だけで業者を選ぶのは危険です。信頼できるパートナーを見つけ、安全に解体工事を進めてください。