空き家相続の落とし穴!兄弟・親族間トラブルを防ぐ5つの秘策

2025.10.29

「あんなに仲の良かった兄弟が、実家の空き家相続をきっかけに口も聞かなくなった…」

これは、日本全国で現実に起きている深刻な問題です。単なる不動産相続と違い、空き家相続には「思い出」という感情的な価値と、「固定資産税」や「管理コスト」という金銭的な負担が同時に発生します。

だからこそ、親族間トラブルの最大の火種となりやすいのです。

放置すれば資産価値が下がり、税金だけがかさむ「負動産」と化す空き家。この記事では、空き家相続に潜む落とし穴と、骨肉の争いを未然に防ぐための5つの秘策を徹底解説します。

なぜ揉める?空き家相続に潜む「3つの落とし穴」

なぜ、空き家相続はこれほどまでにトラブルを引き起こすのでしょうか。その根本原因は3つあります。

落とし穴1:価値観の不一致(「思い出」 vs 「負債」)

相続人全員が、その空き家に対して同じ思いを持っているとは限りません。

「親との思い出が詰まった実家だから、残したい」(長男)
「遠方に住んでいて管理できない。早く売却して現金化したい」(次男)
「固定資産税を払い続けるなんて、ただの負債だ」(長女)

この「感情」と「現実」のズレが、話し合いを複雑にします。

落とし穴2:金銭的負担の押し付け合い

空き家は所有しているだけでコストがかかります。 「誰が固定資産税を払うのか?」 「誰が定期的に帰省し、草むしりや換気などの管理をするのか?」 「将来の修繕費や解体費用はどうするのか?」 この負担の押し付け合いが、兄弟間の亀裂を生みます。

落とし穴3:「とりあえず共有名義」という最悪の選択

話し合いがまとまらない時、最もやってはいけないのが「とりあえず法定相続分で共有名義にする」ことです。

共有名義の不動産は、売却、解体、賃貸など、あらゆる行為に「共有者全員の同意」が必要になります。 一人でも「売りたくない」と言えば、他の全員が売りたくても売れません。これが空き家問題の「塩漬け」を生む最大の落とし穴です。

兄弟・親族間トラブルを防ぐ「5つの秘策」

では、どうすればこの落とし穴を避け、円満に相続を終えることができるのでしょうか。

秘策1:「親が元気なうち」に意思を確認する

最大の秘策は「相続発生前」にあります。親が元気なうちに、家族全員で実家の将来について話し合っておきましょう。

親の希望(売却してほしいか、誰かに住んでほしいか)
子供たちの希望(家を継ぎたいか、売却したいか)

このすり合わせをしておくだけで、いざ相続が始まった時の精神的負担は激減します。可能であれば、親に遺言書を作成してもらい、誰が相続するかを明確にしておくのがベストです。

秘策2:遺産分割協議で「単独名義」を徹底する

相続が発生したら、必ず遺産分割協議を行い、「誰か一人」がその不動産を相続する単独名義にすることを徹底してください。 前述の通り、共有名義は将来のトラブルの元凶です。「長男が代表して相続する」など、責任の所在を一人に集中させることが重要です。

秘策3:「換価分割」で公平に現金化する

最もトラブルが少なく、現実的な解決策が「換価分割(かんかぶんかつ)」です。 これは、空き家を売却して現金化し、その現金を相続分に応じて公平に分配する方法です。これなら「思い出」を「現金」という公平な価値に変えることができ、誰も不満を抱きにくくなります。

秘策4:「代償分割」で家を残す

もし兄弟の一人が「どうしても実家を残したい」と強く希望する場合は、「代償分割(だいしょうぶんかつ)」が有効です。 これは、家を相続する人が、他の相続人に対して、相続分に見合う現金(代償金)を支払う方法です。ただし、家を相続する人に十分な資力が必要となります。

秘策5:誰もいらないなら「相続放棄」も決断する

相続する家が資産価値の低い「負動産」であり、借金も多い場合、相続放棄も重要な選択肢です。 相続放棄は、「相続の開始を知った時から3ヶ月以内」に家庭裁判所に申述する必要があります。期限が非常に短いため、相続が発生したらすぐに資産と負債の調査を開始しましょう。

まとめ

空き家相続のトラブルは、「感情」「お金」「法律」が複雑に絡み合います。最大の予防策は、安易に共有名義にせず、遺産分割協議で「売却して現金で分ける(換価分割)」か「一人が買い取る(代償分割)」かを明確に決定することです。

兄弟・親族間での話し合いが難しい場合は、感情的になる前に、不動産会社や弁護士、司法書士といった第三者の専門家を交えることが、円満解決への一番の近道となります。