空き家相続で親族が揉めた後、円満解決のプロセス公開

長男、次男、長女
2026.1.13

トラブルの概要

「実家をどうするかで兄弟の意見が合わず、顔を合わせるのも気まずくなった」 「兄は『残したい』と言うが、私は現金化したい。話し合いが平行線のままだ」

相続において、現金や預貯金は1円単位で分けられますが、不動産はそうはいきません。特に実家が「空き家」となる場合、「誰が引き継ぐか」「売って分けるか」で利害が対立し、仲の良かった兄弟姉妹が絶縁状態になってしまう「争族(そうぞく)」トラブルが後を絶ちません。

しかし、感情が絡み合った糸も、正しいアプローチと第三者の介入があれば、必ず解きほぐすことができます。

今回は、実家の扱いを巡って1年以上も揉め続けていた3人兄弟が、ある「3つのステップ」を踏むことで円満解決に至った事例をご紹介します。

「売る派」vs「残す派」の泥沼の兄弟喧嘩


都内の実家を相続したのは、長男、次男、長女の3人兄弟です。 父親が亡くなり、築40年の実家は空き家になりました。ここで3人の意見が真っ向から対立しました。

長男(残す派): 「親父が建てた家だ。思い出もあるし、将来自分の子供が住むかもしれないから、とりあえず名義は自分にして残したい(代償金は払えない)。」

次男・長女(売る派): 「自分たちはマイホームのローンもあるし、子供の教育費もかかる。住まない家を持っていても固定資産税がかかるだけだから、すぐに売却して現金を3等分したい。」

長男は「家を守るのが長男の務め」と主張し、次男と長女は「兄貴は独り占めする気か」と疑心暗鬼に。 法事のたびに怒鳴り合いになり、ついには弁護士を入れるかどうかの瀬戸際まで関係が悪化してしまいました。空き家は手入れされず放置され、庭木は伸び放題。資産価値もどんどん下がっていく状態でした。

トラブル解決に向けてのポイント

不動産相続問題の解決は数字とルールが重要


この膠着状態を打破し、解決に導くためには、当事者同士の感情論を排除し、「数字」と「ルール」に基づいて議論を再構築する必要がありました。ポイントは以下の3点です。

1. 「不動産の価値」を可視化し、疑心暗鬼を消す


揉める最大の原因は、「いくらの価値があるか」が曖昧なことです。 長男は「古い家だから価値はない(タダで貰ってもいいだろう)」と思い込み、次男たちは「都内だから高く売れるはず(兄貴は得しようとしている)」と考えていました。

この認識のズレを埋めるため、まずは不動産会社に**「正式な査定書」**を作成してもらい、実家が今いくらで売れるのか、客観的な「市場価格」を全員で共有することがスタートラインです。

2. 空き家の「維持コスト」という現実を突きつける


「とりあえず残したい」という長男に対し、所有することのリスクを具体的に提示しました。 固定資産税、火災保険料、庭木の剪定費用、水道光熱費の基本料金。これらが年間いくらかかり、10年でいくらの出費になるのか。そして、特定空き家に指定された場合の増税リスク。

「誰がその金を払うのか?」という現実的な問いを投げかけることで、漠然とした「残したい」という感情を、「コストを負担してでも残す覚悟があるか」という冷静な判断へと引き上げました。

3. 「換価分割」という公平な着地点の提示


一人が不動産を相続し、他の相続人に現金を支払う「代償分割」は、家に住む長男に相応の資金力がないと成立しません。 今回の場合、長男に数千万円の代償金を払う貯蓄はありませんでした。

そこで、専門家(不動産コンサルタント)が間に入り、物理的に分けられない不動産を売却し、その現金を法定相続分(1/3ずつ)で分ける「換価分割(かんかぶんかつ)」こそが、全員が納得できる唯一の方法であると論理的に提案しました。

トラブル解決の対応と結果

長男の現実的な決断が一気に流れを解決へと


専門家同席のもと、提示された査定額と維持コストの試算表を見た長男は、ようやく現実を受け入れました。 「この家を維持するのに年間30万円もかかり、さらに弟たちに払う代償金も用意できない。現実的に、維持するのは不可能だ」

長男が折れる形で、全員が「売却(換価分割)」に合意。すぐに売却活動がスタートしました。

【対応の流れ】



媒介契約: 兄弟3人の連名で不動産会社と契約(情報の透明性を確保)。

遺品整理: 「思い出の品」は長男が優先的に引き取り、残りは業者へ依頼。費用は売却代金から捻出することで合意。

売却・決済: 好立地だったこともあり、査定から3ヶ月で4,500万円での売却が成立。

【解決の結果】


売却代金から、諸経費(仲介手数料、測量費、解体費など)を差し引き、残った手取り額をきっちり3等分しました。 それぞれの口座に約1,300万円ずつが振り込まれたことで、次男と長女の不満は解消。長男も「維持管理の重圧から解放された」と安堵しました。

「あのまま放置していたら、兄弟の縁が切れていたかもしれない。お金という形で公平に分けられたことで、また正月に集まれるようになった」 後日、3人は笑顔でそう語ってくれました。

まとめ


相続トラブルの多くは、「不公平感」と「情報不足」から生まれます。 今回の事例のように、以下のプロセスを踏むことが円満解決への近道です。

感情論を捨て、プロの査定(客観的な数字)を共通言語にする。

「維持するコスト」と「リスク」を全員で直視する。

代償金が払えないなら、潔く「換価分割(売却)」を選ぶ。

空き家を「争いの種」にするのも、「家族を助ける資産」にするのも、相続人の決断次第です。 もし話し合いが平行線になっているなら、当事者だけで解決しようとせず、相続不動産の扱いに慣れた弊社、解決不動産を「調整役」として招き入れてみてはいかがでしょうか。それが、亡くなったご両親が一番望む「円満解決」への第一歩になります。