神奈川県某市の住宅密集地。築35年の木造2階建て住宅が5年間放置され、近隣住民からの苦情が市役所に相次いでいたそうで雑草が2メートルを超え、不法投棄の温床となり、防犯上の問題も深刻化していました。

所有者のTさん（65歳・年金生活）は相続で取得したものの、遠方在住で管理できず、解体費用300万円の捻出も困難な状況でした。「もう手放すしかない」と弊社を訪れたのが転機となりました。

空き家不動産の専門家として10年間で200件以上の空き家問題を解決してきた経験から、この物件には大きな可能性を感じました。立地の良さ（駅徒歩12分）と敷地の広さ（120㎡）は、適切な活用により地域資源になり得る条件でした。

施策内容：行政と民間の連携による包括的ソリューション

1. 多角的現状分析と戦略立案

まず建物の構造調査を実施。主要構造部は健全で、リフォームによる再生が可能と判明しました。同時に、地域のニーズ調査を行い、子育て世代の住宅不足と高齢者の見守り需要という2つの課題を特定しました。

2. 官民連携スキームの構築

市の空き家バンク制度と民間リフォーム会社、地域のNPO法人を結びつけた三者協働モデルを提案。市が改修費用の一部補助（上限100万円）、NPOが入居後の地域コミュニティ形成支援、民間企業が技術提供とアフターフォローを担当する体制を整備しました。

3. 段階的改修と入居者マッチング

「完璧な新築化」ではなく「住める状態への必要最小限改修」をコンセプトに、予算150万円で水回り・電気設備・外壁を重点改修。同時に、子育て支援に関心の高い若い夫婦を空き家バンクを通じて紹介し、改修中から入居希望者との対話を重ねました。

結果：Win-Winの地域再生モデルが完成

所有者にとっての成果

•管理負担：年間維持費50万円 → ゼロ（賃貸収入で相殺）
•経済効果：月額賃料6万円の安定収入を確保
•心理的負担：近隣への申し訳なさから解放され、「地域貢献している」という誇りに転換

まとめ：空き家は地域資源になる

この事例が示すのは、空き家問題を「個人の課題」から「地域の資源活用」へと発想転換することの重要性です。適切な支援体制があれば、お荷物だった空き家が地域活性化の起点となります。
現在、この成功モデルを他地域に展開中。あなたの空き家も、地域に愛される住まいに生まれ変わる可能性を秘めています。