今、日本ではこのような深刻な空き家問題が急増しています。価値が低い不動産は、利益を得るどころか、所有しているだけで格安どころか赤字を垂れ流す存在です。
放置し続ければ、倒壊のリスクや「特定空き家」指定による固定資産税の最大6倍増というペナルティも待っています。
目次
売却が困難な空き家。手放すための3つの具体策
通常の不動産市場(不動産屋の仲介)で買い手がつかなかった場合、次の3つの具体策を検討します。
1. 自治体やNPO法人に「寄付」する(空き家バンク)
最もクリーンで公的な手放す方法です。
空き家バンクへの登録: 多くの自治体では「空き家バンク」を運営しており、移住希望者や地域活動団体とのマッチングを行っています。ここで「0円譲渡」「格安売買」として登録することで、通常の市場では見つからなかった買い手が見つかる可能性があります。
自治体への直接寄付(採納): 「自治体に無料で引き取ってもらう」方法です。ただし、自治体側も管理コストがかかるため、よほど立地が良い(例:公共施設の拡張予定地)か、歴史的価値がある建物でない限り、寄付を受け付けてもらうのは非常に困難です。
NPO法人への寄付: 地域活性化に取り組むNPO法人が、活動拠点として格安な空き家を探している場合があります。
2. 「空き家マッチングサイト」や「ジモティー」を活用する
自治体や公的機関がダメだった場合、個人間でのマッチングに切り替えます。
空き家専門マッチングサイト: 「解決不動産」「家いちば」「みんなの0円物件」など、個人間で直接空き家を売買・譲渡できるプラットフォームが存在します。
ジモティーの活用: 地元の掲示板「ジモティー」では、「差し上げます」カテゴリで不動産が無料譲渡されているケースがあります。
格安でも「DIY用の古民家が欲しい」「趣味の拠点として使いたい」というニッチな需要を持つ個人とマッチングできる可能性があり、手放すスピードは公的機関より早い場合があります。
3. 法的手段や特殊な譲渡(相続放棄・法人寄付)
これらは最終手段、あるいは特殊なケースです。
相続放棄: もし空き家を相続した直後(相続の開始を知った時から3ヶ月以内)であれば、「相続放棄」という法的な具体策が取れます。これは、空き家だけでなく現金や他の資産も一切相続できなくなりますが、マイナス資産を背負わずに済みます。期限が非常に短いため、決断は迅速に行う必要があります。
法人への寄付: 一般の個人ではなく、「法人(会社)」に無料で寄付する方法です。法人が空き家(不動産)を受け取ると、会計上「受贈益」として利益計上されますが、もしその法人が赤字であれば、その赤字と相殺できます。節税メリットがあるため、引き取ってくれる法人が見つかる場合があります。
【最重要】無料・格安で手放す際の「最大の注意点」
無料や格安で手放す際、絶対に知っておかなければならない最大の注意点(リスク)があります。それは「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」です。
「タダより高いものはない」リスク
これは、「売主(あなた)は、買主(相手)に対し、契約内容に適合しない欠陥(雨漏り、シロアリ、給排水管の故障など)がない物件を引き渡す責任がある」という法律です。
もしあなたが「無料で譲渡した」としても、この責任は発生します。
譲渡した後になって、相手から「雨漏りが見つかった。修理費50万円を払え」「シロアリがいた。損害賠償しろ」と請求されるリスクがあるのです。
リスク回避の絶対条件:「契約不適合責任の免責」
この最悪の事態を避けるため、無料・格安で譲渡する際は、必ず司法書士や不動産会社に依頼し、「売主は、本物件に関する一切の契約不適合責任を負わない(免責)」という特約を、必ず契約書に明記してください。
相手がこの「免責特約」に同意してくれた場合のみ、あなたは将来的な損害賠償リスクから解放され、本当に「手放す」ことができます。
まとめ
空き家を無料や格安で手放すことは可能ですが、それは簡単なことではありません。自治体や個人との交渉が必要であり、何よりも「契約不適合責任の免責」という法的な手続きを怠ると、手放すどころか、将来的に高額な損害賠償を請求されるという最悪の注意点が待っています。
放置し続けるリスクと、手放すためのリスクを天秤にかけ、必ず不動産会社や司法書士などの専門家に相談しながら、安全な具体策を実行してください。
