相続した空き家を放置するとどうなる?リスクと絶対に知るべき対策5選

2025.10.8

突然、実家や親族の家を相続することになったものの、「遠方に住んでいる」「仕事が忙しい」「どう手続きしていいか分からない」といった理由で、空き家をそのまま放置してしまっていませんか?

一見、大きな問題がないように思えるその「放置」が、近い将来、あなたの資産を脅かす深刻なリスクに変わる可能性があります。

この記事では、相続した空き家を放置することで起こりうる4つの重大なリスクと、手遅れになる前に知っておくべき対策5選を詳しく解説します。

空き家を放置する「4つの重大リスク」

「誰も住まないだけ」と軽く考えていると、金銭的、法的な問題が一気に降りかかってきます。

1. 税金が6倍に!?「特定空き家」指定のリスク

最も恐ろしいのが金銭的リスクです。適切に管理されていない空き家は、自治体によって「特定空き家」に指定される可能性があります。

指定されると、土地にかかる固定資産税の「住宅用地特例」が解除されます。これにより、これまで最大1/6に減額されていた税金が元に戻り、納税額が一気に6倍に跳ね上がるケースがあるのです。年間10万円だった固定資産税が、ある日突然60万円になることを想像してみてください。

2. 近隣への損害賠償リスク

老朽化した空き家は、もはやあなたの資産ではなく「負債」です。台風で屋根瓦が飛んで隣家の車を破損させた、外壁が崩落して通行人に怪我をさせた場合、その損害賠償責任はすべて所有者であるあなたが負うことになります(民法第717条:土地工作物責任)。

火災保険が適用されないケースもあり、数千万円単位の賠償を命じられるリスクもゼロではありません。

3. 資産価値の「ゼロ」への暴落

家は人が住まなくなると、急速に劣化します。湿気によるカビの発生、シロアリ被害、雨漏りによる構造材の腐食が進み、数年放置しただけで建物は市場価値を失います。

いざ売却しようと思っても、買い手がつかない「負動産」と化し、結局、高額な解体費用だけが残ることになります。

4. 地域トラブルの火種になるリスク

管理されていない空き家は、地域の景観を損ねるだけでなく、治安悪化の原因にもなります。

雑草が生い茂り、害虫や害獣(ネズミ、ハクビシンなど)の巣窟になる。
ゴミの不法投棄場所になる。
不審者の侵入や放火の標的になる。

これらはすべて、近隣住民との深刻なトラブルに発展し、所有者としての管理責任を厳しく問われることになります。

空き家放置を回避!絶対に知るべき対策5選

リスクを回避し、資産を守るためには、できるだけ早く以下の対策を検討することが重要です。

対策1:売却する(最も確実な解決策)

最もシンプルかつ確実な対策が売却です。 固定資産税の支払い義務や、前述のすべてのリスクから完全に解放されます。建物が古くても「古家付き土地」として売却できるケースは多々あります。まずは専門の不動産会社に査定を依頼し、いくらで売れそうか把握することから始めましょう。

対策2:賃貸に出す(活用する)

立地が良い場合や、まだ建物がしっかりしている場合は、賃貸に出して収益化する道もあります。リフォーム費用がかかりますが、継続的な家賃収入が期待できます。最近では、DIY可能な物件として安価に貸し出す方法も人気です。

対策3:解体して更地にする

売却も賃貸も難しい場合の選択肢が解体です。 倒壊やトラブルのリスクはゼロになりますが、数百万円の解体費用がかかる上、前述の「住宅用地特例」が解除されるため、更地にした後の固定資産税は高くなります。売却の目処が立ってから実行するのが賢明です。

対策4:空き家バンクに登録する

自治体が運営する「空き家バンク」に登録し、移住希望者や地域で活動したい人に安価で貸し出したり、売却したりする方法です。公的な仕組みなので安心して利用できますが、成約までに時間がかかる場合もあります。

対策5:相続放棄(相続発生から3ヶ月以内)

これは相続が発生した直後にしか使えない最終手段です。 空き家以外にめぼしい資産がなく、むしろ借金の方が多い場合、「相続放棄」を家庭裁判所に申述すれば、空き家(と他の全財産)を相続する義務がなくなります。ただし、相続開始を知った時から3ヶ月以内という期限があるため注意が必要です。

まとめ:まずは「相談」から始めよう

相続した空き家を放置することは、時限爆弾を抱えているのと同じです。「いつかやろう」と思っているうちに税金は増え、建物は朽ち果て、リスクだけが膨らんでいきます。

何から手をつければいいか分からない場合は、まず不動産会社や司法書士といった専門家へ相談し、その空き家にどれくらいの価値があるのか、どのような選択肢が最適なのかを明確にすることから始めましょう。早めの行動が、あなたの資産を守る唯一の鍵です。